ユーザビリティ 準備編 第2回
ユーザビリティってどうして重要?
2007.02.07カテゴリ:ユーザビリティ
「ユーザビリティは大切だ」と今や誰もが口をそろえて言う時代。
それって本当?それができていないと何が起こるのか?
企業を投影するメディア
そもそもどうしてここまでユーザビリティの重要性が叫ばれるようになってきたのか?企業にとっての Web サイトの位置づけが、「プロモーションツールの1つ」から「企業全体を投影するメディア」に変わりつつある流れの中でユーザーの体験も徐々に変化し、使いやすくて役に立つサイトを「当たり前のもの」と感じるようになってきたことが、その背景にあります。
リッチな体験を求めて Web サイトに訪れたユーザーは、そこで企業の「おもてなし」を体験し、それがそのまま企業の評価につながっていきます。Web サイトのユーザビリティはもはやサイト上だけの問題ではなく、企業の総合評価を左右する要因になっているということです。そして、当然のことながら「当たり前」ができていない企業に対する風当たりは年々厳しくなってきています。
逃げていくユーザー
皆さんも今までに「使いづらいなあ」と感じる Web サイトに出会ったことがあるでしょう。そのとき、あなたはどうしましたか?そのときの状況で一概に言えないかもしれませんが、問題が致命的であった場合、ユーザーは次のような行動をとると考えられます。
問題の深刻度(低~中の場合)
- → ストレスのため利用意欲が低下する
- → 購入意欲が低下する(ECサイトの場合)
- → 不満を持ち他のサイトに移動する
問題の深刻度(高の場合)
- → 続行が不可能
- → 購入したくてもできない
- → 利用をやめてしまう
極端に簡略化されたモデルですが、これは決して机上の空論ではなく「現実に」起こっていることを端的に表しています。この考え方をもとに、顧客や販売機会を失うことによる損失額の試算も多く出されていますが、ここで忘れてはならないのが、その損失額の大きさ=数値ではなくそれが「一人ひとりのユーザーの体験」が積み重なったものであるということです。
さらに危険な状況とは?
Web ユーザビリティに関する問題は、販売や接触の機会損失を生むだけではありません。それよりも深刻なのは、多大な開発費や広告費を投入し少しずつ時間をかけて培ってきたブランド力が、Web サイトが抱える問題のために不当に低下することがあるという点です。ネガティブな体験がもとで離れていってしまったユーザーを取り戻すのは、現実の世界と同様、容易ではありません。
一方で、他社に負けないような商品力があったり、独自性を持っていたりする場合(例えば、自分が口座を持つ銀行のサイト、そこでしか買えないグッズを販売しているサイトなど)、Web ユーザビリティの欠陥がすぐに悪い結果(=売り上げの低下など)につながらないこともあります。しかしながら、それはときにより悪い状況を生む危険性をはらんでいます。
このような場合、他の選択肢がないためにユーザーはストレスを抱えたままサイトを利用し続けることになります。ユーザーにネガティブな体験を継続的に押し付けることは、彼ら自身が持つブランド評価を下げるのはもちろんのこと、消費者が手軽に情報発信できるようになった口コミの時代においてその影響力は計り知れず、潜在的な顧客に波及していくことも十分に考えられるのです。
他に選択肢がないサイト: 問題の深刻度(低~中の場合)
- → ストレスのため利用意欲が低下する
- → 購入意欲が低下する(ECサイトの場合)
- → しかし、代わりがないので我慢して使う
- → 不満をインターネット上で発信する
「今」必要なユーザビリティ
「どうやらユーザビリティについて真剣に取り組むことは大切らしい。じゃあ、いつ始めればいいのか?」
この問いに対する答えは間違いなく「今すぐ」です。ユーザビリティは「ユーザーが今この瞬間も体験しているもの」だということをぜひ意識してください。あなたのサイトを見ている数千、数万の人が「ああ、ここのサイトは使いづらいなあ」「もう、他のところで買っちゃおう」と今この瞬間に思っているとしたら…。
さあ、機会を逃さないためにも、行動は早いに越したことはありません!
次回はいよいよ「じゃあ何から始めればいいの?」というお話です。<第3回へ続く>
ユーザビリティを忘れることでユーザビリティを向上させるってどういうこと!?
ユーザビリティ改善に向けて、何からはじめる?そして、どの手法が最適なの?
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