サイト内の現在位置です

HOME > IAオンライン講座 > ユーザビリティ 準備編 第1回
脳の準備体操イチ・ニ・サン!
~まずは考え方を変えよう~

ここから本文です

ユーザビリティ 準備編 第1回
脳の準備体操イチ・ニ・サン!
~まずは考え方を変えよう~

2007.01.23カテゴリ:ユーザビリティ

ユーザビリティを忘れることによってユーザビリティを向上させる!?本当に意味のあるユーザビリティテストを行うために必要な考え方とは。

ユーザビリティ普及の弊害?

Web の世界で「ユーザビリティ」という言葉は、今やごく日常的に使われるものになりました。この記事をお読みになっている皆さんの中にも、「うちのサイトの『ユーザビリティ』を向上させるにはどうしたらいいだろう」「リニューアルするときはぜひ高い『ユーザビリティ』を確保したサイトにしたい」などとお考えの方も多いと思います。

インターネットが登場した初期のころはまず最初に技術ありきで、ユーザーの視点が二の次にされていたことを考えると、これは革命的な「進歩」だと言ってよいと思います。しかし、喜ばしい状況の一方でユーザビリティという用語が急速に広まるにつれて、誤解と共に言葉だけがひとり歩きしてしまっているケースも残念ながら見受けられるようになってきました。

ユーザビリティを考える ~ありふれた日常の中から~

ユーザビリティ(=Usability)は日本語で「使いやすさ」と訳されます。簡単な言葉や身近にある概念ほど奥が深いといったことはよくありますが、ユーザビリティはまさにその典型で、さまざまな意味を込めて使うことが多く、そのことがいろいろな誤解を生む一因になっていると考えられます。

そこで、「ユーザビリティってどういうものなの?」という基本的な質問について改めて考えてみたいと思います。例として、次のような日常のケースを考え、そこに出てくる登場人物がいったいどんな体験をするか具体的に想像してみてください。

都内に住む75歳の女性Sさんは、旧友との同窓会に参加するために、普段はあまり使わない電車を一人で利用することになりました。 …(中略)… 何とか無事に電車に乗ることはできましたが、一気に疲れた様子です。「次回は少し無理を言ってでも息子に連れて行ってもらおうかしら」と思うSさんでした…

「電車を利用する」というSさんの目的に対して、それを妨げるような状況に出くわす。そこにはユーザビリティの問題が深く関係しています。以下、一例を見てみましょう。

Sさんの行動ユーザビリティに関する問題(例)
1.駅に到着する
2.切符売り場を探すどこにあるか見つからない
3.切符の値段を調べる運賃表が見当たらない
文字が小さくて見えない
4.切符を買う券売機の使い方がわかりづらい
駅員がいない
5.改札を通る幅の広い改札がなくシルバーカーで通りづらい
6.ホームを探すホームが多すぎてわからない
案内板が見えない
7.ホームまで移動するエレベータが見つからない
階段での移動が大変
8.電車を待つ待っている間に座る場所がない
9.電車に乗り込むホームと電車の間にすきまがあって乗りづらい
10.電車に乗った後もう使いたくないと思う

若者にとっては何気ない駅の利用ですが、Sさんが直面する課題は多く、超えなくてはいけない壁は高そうです。ある目的を果たそうとするときに、上記のような、それを阻むもの、やりにくくするものを取り除きユーザーに満足してもらうことが、ユーザビリティを考える際の基本になります。

また、上に挙げた問題例のすべてが、実は「言われてみると当たり前」のものばかりであるという点にもぜひ注目してください。

「ユーザーの視点に立つ」ということ

普段、何気なく利用しているものでも、自分の立場を少し変えて考えてみることで、意外な盲点に気づくことがあります。そのことは、使用する人の身になって考えないとわからない問題や、ひいてはその人自身にしかわからない問題が、日常の中に埋もれていることを示唆しています。

ユーザビリティについて考えるとき、私たちコンサルタントは「ユーザビリティを向上させたい」という意識をまず捨てます。矛盾しているようですが、本当にユーザーの視点で考えるならば、これは必然的なプロセスです。普段からユーザビリティを意識して Web サイトを使っているユーザーはいませんし、ましてやそれ自体がユーザーの目的となることはありませんよね。彼らはただ不幸にも、ユーザビリティの問題に「遭遇」してしまうだけなのです。

「うちのサイトのユーザビリティを向上せさたい」から一歩進んで、「ユーザーは何を求めているのか?どういうサイトであればユーザーに満足してもらるのか?」とユーザーの視点で考える。「ユーザビリティ」は、それが目的ではなくあくまでも手段であることを理解することではじめて、その真価を発揮するのです。<第2回へ続く>

参照リンク

山崎,北島,熊田,小木,“駅における高齢者のユーザビリティに関する研究”,ヒューマンインタフェースシンポジウム,pp.371-374 (2004)

ユーザーは急速に変化しています。ユーザーの体験から顧客と企業の関係作りを見直すべきでしょう。

逃げていくだけじゃすまない!「当たり前」ができないサイトが抱える「より危険な状況」とは?

FEATURES

Web担当者の
キャリアアップのために

Webの重要性が高まり、
Web担当者にとって、日々の
業務が社内のキャリアアップに
直結する時代。求められる
新しいワークスタイルとは?

オンライン講座

Web担当者のためのオンライン講座がスタートしました。